加齢に伴う性周期と気分変容

年を重ねることは体力や脳の機能不全など私たちにはあまりいいイメージが得難いものです。一方で外来のなかで「人は生きていることそのものに価値がある」とお話をすることがあります。幼少期、青年期から成人・老年期それぞれの時代に合わせた役割が私たちにはありそれを担っていくなかで自分の存在意義はいかなる年齢においても自覚できるというのはあらゆる疾患において同様ではないかと精神療法の中心といってもいいかもしれません。

本日は更年期障害に関わる論文です。

更年期障害とは

「閉経」、卵巣の活動性が次第に消失し、ついに月経が永久に停止した状態をいいます。月経が来ない状態が12か月以上続いた時に、1年前を振り返って閉経としています。日本人の平均閉経年齢は約50歳ですが、個人差が大きく、早い人では40歳台前半、遅い人では50歳台後半に閉経を迎えます。閉経前の5年間と閉経後の5年間とを併せた10年間を「更年期」といいます。更年期に現れるさまざまな症状の中で他の病気に伴わないものを「更年期症状」といい、その中でも症状が重く日常生活に支障を来す状態を「更年期障害」と言います。更年期障害の症状は発汗や抑うつ気分・倦怠感など多岐にわたり婦人科のみならず精神科にて治療させていだくこともあります。うつ状態が強くうつ病を併存している患者様も多くいらっしゃいます。また、LOH症候群という男性更年期障害についても私たち精神科医が鑑別を要する疾患でもあります。一方で加齢性に男性ホルモンが減少し、病態としては抑うつ状態、筋力低下、性機能障害、骨粗鬆症など症状は多岐にわたり診断をつけることが難しい疾患でもあります。では、エストロゲン、プロゲステロンではなくテストステロンと気分変容についてはいまどのような関連があるとされるのでしょう

閉経後の女性におけるテストステロンとうつ病との関連:観察研究の系統的レビュー1)

[OBJECTIVE]The contribution of testosterone to depression in older women is uncertain. This review was conducted to investigate the association between endogenous testosterone blood concentrations and depression in postmenopausal women.

[目的]年配の女性のうつ病へのテストステロンの寄与は不確実です。このレビューは、閉経後女性の内因性テストステロンの血液濃度とうつ病との関連を調査するために実施されました

[METHODS]We searched Ovid MEDLINE, EMBASE, PsycINFO, and Web of Science databases for observational studies with at least 100 community-dwelling participants. The results were categorised by study design, and the reporting of total, bioavailable and free testosterone findings is narrative

[方法]研究デザインによって分類され、合計、バイオアベイラブル、無料のテストステロンの所見の報告は物語です。これらは、6つの断面および2つの縦断的研究を説明しました。テストステロンは、含まれているすべての研究で免疫測定法によって測定されました。断面または縦断的研究では、総テストステロンまたは遊離テストステロンとうつ病の間に関連性は見られませんでした。バイオアベイブルテストステロンと事件の抑うつ症状との間の有意な関連性は、1つの研究で少なくとも21年の閉経後の女性に限定されていました。横断的研究のほとんどは、国家集団を代表するものではなく、ランダム選択が不足していました

[CONCLUSIONS]This systematic review does not support an association between testosterone and depression in postmenopausal women. However, as the included studies had substantial methodological limitations, studies of community-based samples, employing validated instruments for depression and precise measurement of blood testosterone, are needed to address this knowledge gap.

[結論]この系統的レビューは、閉経後の女性のテストステロンとうつ病の関連性をサポートしていません。しかし、含まれている研究にはかなりの方法論的な制限があったため、この知識のギャップに対処するには、うつ病の検証済み機器と血液テストステロンの正確な測定を採用したコミュニティベースのサンプルの研究が必要です。

現状では女性の更年期障害においてはエストロゲンやプロゲステロンの定量

LOH症候群においては遊離テストステロンの定量から診断、治療に至ります

ホルモン補充療法についてはLOH症候群におきましては泌尿器科での治療となります

加齢とうまく付き合い体とも対話をしていきたいですね

1)日本産科婦人科学会HPより抜粋

2) Hemachandra ChandimaIslam Rakibul MBell Robin JSultana FarhanaDavis Susan; Maturitas 2022Dec06 Vol. 168

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