自分と他人を比べてしまうときにどうすべきか

わかっていても人は自分と他者を比べて落ち込んだり、憂うつ感に浸り時にいらいらや不眠となることがあります

自分と他人を比べてしまう癖を直し、心のコントロールをする方法について、科学的な裏付けも踏まえてご説明します。

自分と他人を比べてしまう癖を治す方法

自分と他人を比較してしまうのは、人間にとって自然な認知機能の一部です。特にSNSの普及により、他者の「完璧に見える」側面ばかりに触れる機会が増え、比較癖が悪化しやすい傾向にあります。この癖を直すためには、以下の方法が有効です。

比較のトリガーを特定する(自己認識):

裏付け: 心理学では、自己認識(Self-awareness)が行動変容の第一歩とされています。自分がどのような状況や感情の時に他人と比較してしまうのかを把握することで、その状況を避ける、あるいは異なる対応を計画することができます。

実践: スマートフォンを手に取った時、SNSを見ている時、特定の友人と話している時など、具体的にどのような時に比較感情が芽生えるかを記録してみましょう。

SNSの使用を見直す:

裏付け: 研究により、SNSの過度な使用が自己肯定感の低下や抑うつ症状と関連していることが示されています。特に、他者の「最高の瞬間」ばかりが表示されることで、自分の現実とのギャップを感じやすくなります。

実践: SNSの利用時間を制限するアプリを使用する、通知をオフにする、フォローするアカウントを見直す(インスピレーションを与えてくれるアカウントや、現実的な側面も発信するアカウントに絞る)などを試してみましょう。デジタルデトックスも有効です。

自分の価値基準を明確にする:

裏付け: ポジティブ心理学では、個人の強み(Strengths)や価値観(Values)に焦点を当てることが、幸福感や自己肯定感を高めるとされています。他者の基準で自分を測るのではなく、自分自身の内なる基準を確立することが重要です。

実践: 自分が何を大切にしているのか(例:創造性、人間関係、学び、健康など)をリストアップし、日々の行動がその価値観に沿っているかを確認します。これにより、他者との比較ではなく、自己の成長と充足感に目を向けられます。

感謝の気持ちを育む(Gratitude Practice):

裏付け: 感謝の実践は、幸福感を高め、ネガティブな感情を軽減することが多くの研究で示されています。他者に目を向けるのではなく、自分が持っているものに焦点を当てることで、比較のループから抜け出しやすくなります。

実践: 1日の中で感謝できることを3つ書き出す「感謝の日記」を始めてみましょう。小さなことでも構いません。

不完全さを受け入れる(自己受容):

裏付け: 自己受容(Self-acceptance)は、完璧主義を手放し、自分の欠点も含めて受け入れることです。自分も他者も不完全であることを認識することで、過度な比較から解放されます。

実践: 自分の短所や失敗を紙に書き出し、それらをどのように捉え直せるかを考えてみましょう。完璧である必要はないというマインドセットを持つことが大切です。

心のコントロールをする方法

心のコントロールとは、感情や思考を意識的に管理し、望ましい状態に導くことです。

マインドフルネスの実践:

裏付け: マインドフルネスは、現在の瞬間に意識を集中させ、判断せずに受け入れる練習です。脳科学の研究では、マインドフルネス瞑想が脳の感情制御に関わる部分(前頭前野など)を活性化させ、ストレス反応を軽減することが示されています。

実践: 毎日数分間、自分の呼吸に意識を集中させる瞑想を行います。思考が浮かんできても、それを判断せずにただ観察し、再び呼吸に意識を戻します。これにより、感情に飲み込まれにくくなります。

認知行動療法(CBT)の考え方を取り入れる:

裏付け: 認知行動療法は、思考、感情、行動の相互作用に注目し、非合理的な思考パターンを特定し修正することで、感情や行動を改善する心理療法です。多くの精神疾患に有効であることが実証されています。

実践: ネガティブな感情が湧き上がった時、「なぜ自分はそう感じるのか?」「この考えは本当に正しいのか?」と自問自答し、思考の偏り(例:全か無か思考、過度の一般化など)がないかを確認します。より現実的で建設的な思考に置き換える練習をします。

感情のラベリング(Naming Emotions):

裏付け: 感情を言葉で表現することは、その感情の強度を和らげることが脳科学的に示されています。感情を言葉にすることで、脳の扁桃体(感情の中枢)の活動が抑制されると考えられています。

実践: 自分が感じている感情を具体的に言葉にしてみましょう。「イライラする」だけでなく、「不安」「焦り」「嫉妬」など、より具体的に言語化することで、感情との距離を取りやすくなります。

ストレスコーピング戦略の多様化:

裏付け: ストレスへの対処法(コーピング)には、問題解決型(直接問題に対処)と情動焦点型(感情を調整)があります。多様なコーピング戦略を持つことで、様々な状況に対応できるようになります。

実践: 運動、趣味、友人との交流、質の良い睡眠、健康的な食事など、自分に合ったストレス解消法を見つけ、日々の生活に取り入れます。

セルフ・コンパッション(Self-Compassion):

裏付け: セルフ・コンパッションは、困難な状況にある自分に対して、友人にするように優しさと思いやりを持って接することです。自己批判を減らし、自己肯定感を高める効果があります。研究により、ストレスや不安の軽減、幸福感の向上と関連することが示されています。

実践: 自分が苦しい時、自分自身に優しい言葉をかけてみましょう。「大丈夫、誰にでもあることだよ」「よく頑張っているね」といった言葉がけは、自己肯定感を高める助けになります。

これらの方法は、一朝一夕に身につくものではありません。継続的な実践と、自分自身への忍耐が必要です。必要であれば、専門家(心理カウンセラーなど)のサポートも検討してみてください。中原こころのクリニックは川崎市武蔵中原駅前、武蔵小杉や溝の口からも近隣にありますが遠方よりいらっしゃる患者様もいます。かかりつけ制であり四ノ宮基医師が対応致します

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