理想の食事の回数 1回?2??それとも3回???

書店に行くと1日1食や断食の勧めなど食生活における本がたくさん並んでいます

喜びでもあり苦しみでもある食事について中原こころのクリニック精神科専門医である四ノ宮医師と一緒に自分自身にとっての好都合となり得る食事について意識してみましょう

1日1食という食習慣は、近年注目を集める「断続的断食(Intermittent Fasting: IF)」の一種として捉えることができます。メンタルヘルスへの影響については、メリットとデメリットの両方が指摘されており、研究も進められています。

1日1食がメンタルに与えるメリット

自己肯定感・自己管理能力の向上:

1日1食を実践し、食欲をコントロールすることで、自己管理能力や意志力が試され、達成感を得られます。これにより、自己肯定感やストレス耐性の向上につながる可能性があります。

論文等での示唆: 直接的に1日1食に特化した論文は少ないですが、断食が自己規律を高め、精神的な安定感をもたらす可能性を示唆する報告があります。

関連する概念: 「直観的な食事」に関する研究では、自分の空腹感を認識し、食べ物への執着を抑えることが、精神的な安定につながる可能性が示唆されています (Nike, 「直観的な食事」の健康効果とは?)。

集中力向上:

食事による消化活動に費やされるエネルギーが減ることで、日中の眠気やだるさが軽減され、集中力が高まるという体感的な報告があります。特に、食事のタイミングを夜にすることで、日中の空腹状態が集中力を高める効果を期待できるという意見もあります。

関連する概念: 脳のエネルギー源である糖質が不足すると、集中力低下やイライラにつながることが指摘されていますが、1日1食が必ずしも低血糖状態を招くわけではなく、体が適応することで、かえって安定するという主張もあります。

内臓の休息と体調改善:

食事回数が減ることで、胃腸などの消化器官が休まる時間が長くなります。これにより、消化吸収に費やされていたエネルギーが他の身体機能に回され、体感的に疲れにくくなると感じる人もいます。胃腸の調子が改善することで、間接的にメンタルヘルスに良い影響を与える可能性も考えられます(腸脳相関)。

論文等での示唆: 腸内フローラの多様性が増し、減量効果が期待されるという断続的断食に関する研究もありますが、メンタルヘルスとの直接的な因果関係についてはさらなる研究が必要です (Science Portal China, 「断続的断食」と「持続的少食」、減量効果が高いのは?)。

1日1食がメンタルに与えるデメリット

過度な空腹感とストレス:

特に初期段階では強い空腹感に襲われ、それによってイライラや集中力低下、さらには反動による過食につながるリスクがあります。食事制限は、ストレスホルモンであるコルチゾールの増加を招き、血糖値の上昇や精神的な負担を増す恐れがあります。血糖スパイクが血管を傷つけることを考慮すると食事はこまめにとることが心にも身体にも優しいでしょう

論文等での示唆: 「ストレスが強いとコルチゾールなどのホルモンが増加し、血糖値が上昇しやすくなります。一日一食のような厳しい食事制限は空腹時間が長く精神的負担が増す恐れがあります。加えて栄養不足になればイライラや集中力低下を招き、結果的にストレスが高まる悪循環が生じることもあります。」(神戸きしだクリニック, 糖尿病患者の食事回数と血糖値コントロール)。

関連する概念: 脳は糖をエネルギー源とするため、低血糖状態になると脳の働きが低下し、感情や精神面に不調が出やすくなることが指摘されています。

栄養不足と精神的な不調:

1日1食では、1回の食事で必要な栄養素(ビタミン、ミネラル、タンパク質など)を十分に摂取することが難しくなる場合があります。栄養不足は、身体のだるさや免疫力の低下だけでなく、精神面の落ち込みやイライラ、集中力の低下など、メンタルヘルスの悪化につながる可能性があります。

論文等での示唆: 「一日一食で摂取栄養量が減ると、身体のだるさや免疫力の低下、精神面の落ち込みのような症状につながるため、注意が必要です。」(247-workout.jp, 一日一食ダイエットのデメリットは?メリットや取り入れる際の注意点も解説)。

関連する概念: 葉酸、亜鉛、ビタミンB12など、特定の栄養素の摂取不足がうつ病と関連することが報告されています (researchmap, 食からメンタルヘルスを考える)。

血糖値の乱高下(血糖値スパイク):

食事の間隔が長時間空くことで、空腹時と食後の血糖値の差が大きくなり、「血糖値スパイク」を引き起こす可能性があります。血糖値スパイクは、イライラ、倦怠感、集中力低下など、メンタルヘルスに悪影響を及ぼすことが指摘されています。特に糖尿病患者は注意が必要です。

論文等での示唆: 「一日一食では糖質の摂取タイミングが1回に集中するため、血糖値を安定させたい食事療法の方針とは必ずしも合致しません。」(神戸きしだクリニック, 糖尿病患者の食事回数と血糖値コントロール)。

生活リズムの乱れとメンタルヘルス:

「食事のリズムが乱れている人は、メンタルヘルスの状態が悪い」といった論文も発表されており、欠食をせず、可能な限り毎日決まった時間に食事をとることがメンタルヘルスを整える上で重要であるという見解もあります (strescope.jp, 【精神科産業医監修】メンタルヘルスと食事の関係)。

論文を含めた考察

メンタルヘルスと食事の関係については、多くの研究がなされていますが、「1日1食」という特定の食習慣がメンタルヘルスに与える影響について、大規模で長期的なランダム化比較試験の論文はまだ限られているのが現状です。中原こころのクリニックは武蔵中原駅前にありますが、武蔵小杉や武蔵新城駅からも徒歩圏にございます。不眠や不安抑うつ気分や休職を含めた環境マネジメント相談や認知症の進行予防から発達障害まで一人の医師がかかりつけ医として責任をもって精神科専門医である四ノ宮基医師が担当します。

訪問診療は溝の口エリアや武蔵小杉エリアに多く常勤精神科専門医の訪問診療をメイン外来通院治療も行っておりますのでお気軽にご相談ください

一般的な食事とメンタルヘルス: 食事の質や食パターンとメンタルヘルスの関連性を示す研究は多く存在します。例えば、バランスの取れた食事や地中海式食事は、うつ病や不安症のリスクを低下させる可能性が示唆されています (researchmap, 食からメンタルヘルスを考える)。逆に、不健康な食事は精神的苦痛につながるとも報告されています (dm-net.co.jp, 女性は食事からメンタルヘルスの影響を受けやすい)。

断続的断食(Intermittent Fasting: IF)とメンタルヘルス: 1日1食はIFの一種ですが、IFそのものについては、インスリン感受性の改善や体重減少といった身体的なメリットが注目される一方で、メンタルヘルスへの影響については賛否両論があります。一部の研究では、気分改善やストレス軽減効果が示唆されることもありますが、ストレスの増加や集中力の低下といったデメリットも報告されています。

まとめ

1日1食がメンタルに与える影響は、個人の体質、生活習慣、精神状態、そして実践方法(食事の内容や時間帯など)によって大きく異なります。

メリットとしては、自己管理能力の向上、集中力の増加、内臓の休息による体調改善が挙げられる可能性があります。

デメリットとしては、過度な空腹によるストレス、栄養不足による精神的な不調(イライラ、気分の落ち込み)、血糖値の乱高下による体調不良のリスクがあります。

現時点では、「1日1食がメンタルに確実に良い影響を与える」と断言できる強力な科学的エビデンスは不足しています。むしろ、食事のリズムを整え、バランスの取れた栄養摂取を心がけることが、一般的なメンタルヘルス維持には重要であるという見解が多いです。

もし1日1食を試す場合は、自身の体調や精神状態を注意深く観察し、無理のない範囲で行うことが非常に重要です。栄養バランスに配慮した質の良い食事を1回に集中して摂ることや、必要であれば専門家(医師や管理栄養士)に相談することも検討すべきでしょう。

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