精神科及び心療内科にははじめてお迎えする患者様も久しぶりに来院される患者様もいらっしゃいます。不安や苦しい状況のなか、手書きで問診票を御記載頂いて恐縮です
医療の簡略化やIoT導入は大切ですが、問診票や診療情報提供書(紹介状)、公的扶助継続のための前医作成診断書複写は医療を円滑に進める上で大切な材料でございます
当院では精神科医療知識を有する医療スタッフにおける予備診察を問診の前に行います
様々な医療機関にて前期研修医、専修医、公認心理士や精神保健福祉士、医療事務スタッフにおける予備診察後に診察をさせていただく機会を得てきました。その結果一定の知識を有する担当者であれば医療者、福祉職、事務職において有意差が生じないことが分かりました。一方でWeb問診になると病歴や生活歴また主訴に特異性が損なわれ診察に影響があることも体得致しました。その為、当院では対面での予備診察を時間が掛かっても引き続き行い診察に繋げていこうと考えております。その為、初診の際にはお時間をいただくことがありますがご理解の程よろしくお願い申し上げます。
大事な診察室や予備診察室に素敵な絵をご寄贈頂いております
X年Y月に患者様のご家族の方から訪問診療のご依頼を受けました。
言動や行動がまとまらず生活が破綻している、どこの病院も対応が出来ないと断れてしまったと外来通院が困難な為に往診でご自宅での診察となりました。ご家族の手厚いサポートや心が別の世界にあっても1本の糸でつながれた家族の言葉のおかげで治療は思わぬ形で軌道に乗り始め元の生活を取り戻しましたが、ある日街中で意識を失い救急搬送され心臓の弁置換術を受けられました。自宅に帰り懸命なリハビリのなか、再び自力での生活を取り戻しましたが、今春虚血性心疾患によりご逝去されました。最後の砦としての治療場面における訪問診療は緊張感と責任感が常にある世界ですがご家族と共有した2年間の治療期間を大変ご評価していただきまた、難治性疾患の難しい局面においても強制治療を経ずに奏功していく貴重な経験をさせていただきました。ご自宅の居間に飾ってあった2枚の油絵はご兄弟が心を込めて描出された油絵でありいつも眺めながらご自宅にて治療をしておりました、血圧の管理においてガイドラインは日本やアメリカのガイドラインでは下がりきらず英国のガイドラインをベースに心負荷の軽減に努めておりましたが、貴重な2年でもありましたが価値ある命の時間はもう少し延長できたのではとも今でも思っています
ご家族とは患者様のご逝去後にもお声掛けを何度もいただき、貴重な絵はクリニックの診察室と予備診察室に装飾させていただくこととなりました。
診察室にはフランスのモンサンミッシェル、予備診察室には日本の美術館庭園で遭遇した光景と温かくも優しく美しい油絵です。患者様が診察に来ていただいたときに包み込む光でもあります。
高橋正卓様のご厚意に心より感謝申し上げます
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