小児とサプリメント(DHA)の考察

今年の季節の変わり目は例年と異なる厳しさでした

極端に寒くなる日や梅雨のような日

目まぐるしい気候変動に一定の体温を保ち生活する私たちは疲労感を感じやすいものです

継続的な疲労感は不眠や集中力の欠如及び感情の易変性に繋がりやすいものです

副交感神経を働かせるためのゆっくりとした呼吸(呼気の延長)、視覚からの刺激の遮蔽、適度な運動を行ったあとに交感神経から副交感神経への循環

リラックスする術は自然とできるのが最適ですが時に意図的につくりあげてもいいのではないでしょうか。

ところで皆様サプリメントはお好きですか?

ビタミンや金属、不飽和脂肪酸からアミノ酸、食品由来のものまで健康に私たちの関心や不安があるためマーケット市場は大きいものの確固たるものが無いというのが私の感覚ではあります。時に不飽和脂肪酸やエナジードリンクを飲んだりしますが、気分転換のようなもの程度の解釈においています。本日はNEJMに掲載された人の発達とDHA(サプリメント)に関する論文をご紹介致します

Neonatal Docosahexaenoic Acid in Preterm Infants and Intelligence at 5 Years

早産児の新生児ドコサヘキサエン酸と5歳時の知能

【BACKGROUND】

Docosahexaenoic acid (DHA) is a component of neural tissue. Because its accretion into the brain is greatest during the final trimester of pregnancy, infants born before 29 weeks’ gestation do not receive the normal supply of DHA. The effect of this deficiency on subsequent cognitive development is not well understood.

【背景】

ドコサヘキサエン酸(DHA)は神経組織の成分です。脳への付着は妊娠の最終学期に最大になるため、妊娠29週より前に生まれた乳児はDHAの通常の供給を受けられません。この欠乏がその後の認知発達に及ぼす影響はよく理解されていません。

【METHOD】

We assessed general intelligence at 5 years in children who had been enrolled in a trial of neonatal DHA supplementation to prevent bronchopulmonary dysplasia. In the previous trial, infants born before 29 weeks’ gestation had been randomly assigned in a 1:1 ratio to receive an enteral emulsion that provided 60 mg of DHA per kilogram of body weight per day or a control emulsion from the first 3 days of enteral feeds until 36 weeks of postmenstrual age or discharge home, whichever occurred first. Children from 5 of the 13 centers in the original trial were invited to undergo assessment with the Wechsler Preschool and Primary Scale of Intelligence (WPPSI) at 5 years of corrected age. The primary outcome was the full-scale intelligence quotient (FSIQ) score. Secondary outcomes included the components of WPPSI.

【方法】

気管支肺異形成を予防するための新生児DHA補充の試験に登録された小児を対象に、5歳時の全身知能を評価した。前回の試験では、妊娠29週より前に生まれた乳児は、1日あたり体重1キログラムあたり60 mgのDHAを提供する経腸エマルジョン、または経腸栄養の最初の3日から月経後36週まで対照エマルジョンまたは退院するまでの経腸エマルジョンを投与するために1:1の比率でランダムに割り当てられていました。 どちらか早い方。最初の試験の13施設のうち5施設の子供は、矯正年齢の5歳でウェクスラー幼稚園および初等知能尺度(WPPSI)による評価を受けるよう招待されました。主要アウトカムは、実物大知能指数(FSIQ)スコアであった。副次アウトカムはWPPSIの成分であった。

【RESULTS】

A total of 1273 infants underwent randomization in the original trial; of the 656 surviving children who had undergone randomization at the centers included in this follow-up study, 480 (73%) had an FSIQ score available — 241 in the DHA group and 239 in the control group. After imputation of missing data, the mean (±SD) FSIQ scores were 95.4±17.3 in the DHA group and 91.9±19.1 in the control group (adjusted difference, 3.45; 95% confidence interval, 0.38 to 6.53; P=0.03). The results for secondary outcomes generally did not support that obtained for the primary outcome. Adverse events were similar in the two groups.

【結果】

元の試験では、合計1273人の乳児が無作為化を受けました。この追跡研究に含まれるセンターで無作為化を受けた656人の生き残った子供のうち、480人(73%)がFSIQスコアが利用可能でした—DHAグループで241人、対照群で239人。欠損データの補完後、平均(±SD)FSIQスコアは、DHA群で95.4±17.3、対照群で91.9±19.1であった(調整差、3.45;95%信頼区間、0.38〜6.53;P = 0.03)。副次的アウトカムの結果は、概して主要アウトカムの結果を支持しなかった。有害事象は2群で類似していた。

【CONCLUSIONS】

In infants born before 29 weeks’ gestation who had been enrolled in a trial to assess the effect of DHA supplementation on bronchopulmonary dysplasia, the use of an enteral DHA emulsion until 36 weeks of postmenstrual age was associated with modestly higher FSIQ scores at 5 years of age than control feeding. (Funded by the Australian National Health and Medical Research Council and Nu-Mega Ingredients; N3RO Australian New Zealand Clinical Trials Registry number,

【結論】

気管支肺異形成に対するDHA補給の効果を評価する試験に登録された妊娠29週より前に生まれた乳児では、月経後36週までの経腸DHAエマルジョンの使用は、対照摂食よりも5歳でわずかに高いFSIQスコアと関連していた。(オーストラリア国立保健医療研究評議会とNu-Mega成分によって資金提供されました。N3ROオーストラリアニュージーランド臨床試験登録番号

日本でもDHAはサプリメントのマーケットにおいて長期に渡り人気があるものです

今回の投与群は妊娠28週と器官形成期を終えたところから月経36週とあくまでも気管支肺異形成予防におけるもののなかでの5歳時のFSIQスコアを追ったものです。中央値におけるIQの差は3.8%の差です。私たち精神科医は現在ではIQのなかにあるワーキングメモリーや言語性のIQなど得意不得意から患者様の生きやすさを模索するためFSIQについては。極端な乖離を除き参考程度の印象しかないというのが私自信の評価尺度になります。今回のDHA摂取におけるIQ上昇は神経管の発達過程を考慮しても幼児期や学童期にせっせと高額なDHAを子どもに摂取するという前向きな気持ちには全くなれないのです。当院の近くには東京大学への進学率が高い進学校もありますが、ご父兄を含め最寄り駅でないにも関わらず有病率も高くあります。遺伝行動学は好きな学問ではありますが、あくまでもフィクションとしての仮説であり、好きな仮説を壊していくことが診察のなかでの力動的に行っている部分でもあります。目的志向性がない人には一緒につくり、ある人には支援(応援という言葉が正確でしょう)する診療を心がけています

DHAは消化器症状を中心とした副作用もございますのでサプリメントを内服の際には妊娠中、授乳中、幼児・学童期の方も含めあくまでも自費でも商品となるため販売元に必ずご確認ください

1)。Jacqueline F. Gould, Ph.D., Maria Makrides et al; October 27, 2022

N Engl J Med 2022; 387:1579-1588

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入浴と気分変調との相関について

私たちの生活において日々の生活は定型的なものになりがちです

仕事、学校、家庭・・・と時間に追われてばかりではないでしょうか

海外のように長い休暇がとりにくい文化的背景からも生活様式は単調なものとなり、おかれている環境が悪化すると精神面にも影響が出てくるものです

文化的背景といえば我々の肩まで湯舟に浸る入浴習慣。

最近ではシャワー浴も増えておりますが精神面においてはどのような影響があるのでしょうか。今回は入浴(温泉)とうつ病についての相関性について研究された論文をご紹介させていだきます

Association between habitual hot spring bathing and depression in Japanese older adults: A retrospective study in Beppu.1)

日本の高齢者における習慣的な温泉入浴とうつ病との関連:別府でのレトロスペクティブ研究

OBJECTIVES : Thermal therapy is used to manage various psychological diseases, such as depression. We investigated the relationship between hot spring bathing and depression in older adults using questionnaire responses.

目的 : 温熱療法は、うつ病などのさまざまな精神疾患の管理に使用されます。 アンケート回答を用いて、高齢者の温泉入浴とうつ病との関係を調査した。

DESIGN AND SETTING : We comprehensively evaluated the preventive effects of long-term hot spring bathing in 10429 adults aged ≥ 65 years in Beppu, Japan, by conducting a questionnaire study on the prevalence of depression (n = 219).

MAIN OUTCOME MEASURES : Odds ratios (ORs) with 95% confidence intervals (CIs) were calculated using a multivariable logistic regression model for history of depression.

デザインと設定 : 別府市の 65 歳以上の成人 10,429 人を対象に、うつ病の有病率に関するアンケート調査 (n = 219) を実施し、長期温泉入浴の予防効果を総合的に評価しました。

主な結果の測定: 95% 信頼区間 (CI) のオッズ比 (OR) は、うつ病の病歴の多変量ロジスティック回帰モデルを使用して計算されました。

RESULTS : A separate multivariable logistic regression model for inference showed that female sex (OR, 1.56; 95 % CI, 1.17-2.08; p = 0.002), arrhythmia (OR, 1.73; 95 % CI, 1.18-2.52; p = 0.004), hyperlipidemia (OR, 1.63; 95 % CI, 1.14-2.32; p = 0.006), renal disease (OR, 2.26; 95 % CI, 1.36-3.75; p = 0.001), collagen disease (OR, 2.72; 95 % CI, 1.48-5.02; p = 0.001), allergy (OR, 1.97; 95 % CI, 1.27-3.04; p = 0.002), and habitual daily hot spring bathing (OR, 0.63; 95 % CI, 0.41-0.94; p = 0.027) were independently significantly associated with a history of depression.

結果: 推論のための別の多変数ロジスティック回帰モデルは、女性 (OR, 1.56; 95 % CI, 1.17-2.08; p = 0.002)、不整脈 (OR, 1.73; 95 % CI, 1.18-2.52; p = 0.004) を示した。 , 高脂血症 (OR, 1.63; 95 % CI, 1.14-2.32; p = 0.006), 腎疾患 (OR, 2.26; 95 % CI, 1.36-3.75; p = 0.001), 膠原病 (OR, 2.72; 95 % CI , 1.48-5.02; p = 0.001), アレルギー (OR, 1.97; 95 % CI, 1.27-3.04; p = 0.002), 習慣的な毎日の温泉入浴 (OR, 0.63; 95 % CI, 0.41-0.94; p = 0.027) は独立して、うつ病の病歴と有意に関連していました。

CONCLUSIONS : We found an inverse relationship between habitual daily hot spring bathing and history of depression. Prospective randomized controlled trials on habitual daily hot spring bathing as a treatment for depression are warranted to investigate whether the use of hot springs can provide relief to those with psychiatric and mental health disorders.

結論 : 習慣的な毎日の温泉入浴とうつ病の病歴との間に逆相関が見られた。 うつ病の治療としての毎日の習慣的な温泉入浴に関する前向き無作為対照試験は、温泉の使用が精神障害および精神障害のある人々に緩和を提供できるかどうかを調査するために保証されています.

うつ病の病歴と入浴習慣に逆相関があるのは臨床上、うつ状態にある患者様が入浴をはじめとした整容に行き届かくなることから順行性にも逆行性にも相関があることはひとつの治療のメルクマークとして入浴の重要性を再確認してもいいのではないでしょうか

いかに億劫・手間と感じてしまう入浴や自己を適度に洗浄し自愛的な状況を確認し、再形成するかひとつの私たち臨床医にとってもヒントとなる研究結果ともいえます

入浴することでうつ状態への移行や増悪を防ぐことが可能と疾病教育のなかでお話させていただくことも有効でしょう。昨今人気のサウナやホットヨガなどとともに日常における入浴習慣の重要性を共有したいです

1) S.Yamasaki ei al ;Complementary therapies in medicine. 2022 Dec 13;72;102909. doi: 10.1016/j.ctim.2022.102909

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身体化症状としての頭痛

頭痛を引き起こす原因は様々なものがあります

精神科領域ではうつ病や不安障害、自閉症スペクトラム障害の方に多い印象があります

頭蓋内占拠性病変、脳の腫瘍や血管腫。過去の出血後における血種などによるもの

また、偏頭痛のように脳血管における収縮不全(一部の血管が拡張したままの状態)。

髄膜炎や帯状疱疹、エピソードのない外傷、神経変性疾患

原因を探していくことが治療の入り口としましては大変重要です

どこをまず受診したらいいのかと尋ねられたら、神経内科や脳神経外科をお勧めします

検査に至るがどうかは現場の医師判断になりますが、画像検査も診断への近道となります

町医者になってから頭痛の治療に関わることが多いです

年齢層も幅広く、学童期から老年期。女性が多い印象です

きっかけはワクチン接種であったり、コロナ罹患がありますが果たして因果関係があるのかどうかは数年から数十年のコホート研究を待たなくてはいけません

一方で治療者としては目先の症状緩和についてなんとかして対応したいと考えておりますが、私は頭痛のエキスパートではありませんが予防薬と治療薬の仕分けをしながら対応していきます。治療というものはこの時代、医師からの提案と患者様希望を摺合せていくshared decision makingのベースとなるのは治療のガイドラインです

これはインターネットでも閲覧印刷が可能でありますし、大概の疾患については購入も可能です。よくならないご自身の内科領域を含めた疾患についてはガイドラインを参照になって医師と一緒に治療の整合性をすり合わせそこに専門医の治療経験を上乗せしていくことがあらゆる疾患における治療の奏効率を引き上げていくことと、医療機関選別に繋がることでしょう。本日は頭痛に関する新しい論文のご紹介となります

Association between dietary habits and the risk of migraine: a Mendelian randomization study

食習慣と片頭痛のリスクとの関連性: メンデルランダム化研究

OBJECTIVE : The important contribution of dietary triggers to migraine pathogenesis has been recognized. However, the potential causal roles of many dietary habits on the risk of migraine in the whole population are still under debate. The objective of this study was to determine the potential causal association between dietary habits and the risk of migraine (and its subtypes) development, as well as the possible mediator roles of migraine risk factors.

目的: 片頭痛の発症に対する食事の誘因の重要な寄与が認識されています。 しかし、人口全体における片頭痛のリスクに対する多くの食習慣の潜在的な因果関係については、まだ議論の余地があります。 この研究の目的は、食習慣と片頭痛(およびそのサブタイプ)発症リスクとの間の潜在的な因果関係、および片頭痛危険因子のメディエーターの役割の可能性を明らかにすることでした

METHODS : Based on summary statistics from large-scale genome-wide association studies, we conducted two-sample Mendelian randomization (MR) and bidirectional MR to investigate the potential causal associations between 83 dietary habits and migraine and its subtypes, and network MR was performed to explore the possible mediator roles of 8 migraine risk factors.

方法 : 大規模なゲノムワイド関連研究の概要統計に基づいて、83 の食習慣と片頭痛およびそのサブタイプの間の潜在的な因果関係を調査するために、2 サンプルのメンデルランダム化 (MR) および双方向 MR を実施し、ネットワーク MR を実施しました。 8つの片頭痛危険因子のメディエーターの役割の可能性を探ります。

結果 : 複数の検査を補正した結果、遺伝的に予測されたコーヒー、チーズ、脂っこい魚、アルコール (赤ワイン)、生野菜、ミューズリー、全粒粉/全粒パンの摂取と片頭痛のリスクとの関連性の証拠が見つかりました。これらのオッズ比はさまざまでした。 現在の飲酒者の全体的なチーズ摂取量の0.78 (95% CI: 0.63-0.95) から、通常食事と一緒に飲む飲み物の0.61 (95% CI: 0.47-0.80) まで (はい + いいえと比べて変化します)。 一方、白パン、コーンフレーク/フロスティ、鶏肉の摂取は片頭痛のリスクと正の相関がありました。 さらに、白パン、全粒粉/全粒パン、ミューズリー、アルコール(赤ワイン)、チーズ、脂っこい魚の摂取に対する遺伝的傾向は、不眠症および(または)大うつ病性障害(MDD)のリスクの上昇と関連していた可能性があります。 いくつかの食習慣から片頭痛に至る経路の仲介者として機能します。 最後に、遺伝的に予測された片頭痛と飲酒の種類との間には負の関連があり、片頭痛と1日あたりのお茶の量には正の関連があるという証拠を発見しました

SIGNIFICANCE : Our study provides evidence about association between dietary habits and the risk of migraine and demonstrates that some associations are partly mediated through one or both insomnia and MDD. These results provide new insights for further nutritional interventions for migraine prevention.

重要性:私たちの研究は、食習慣と片頭痛のリスクとの関連性に関する証拠を提供し、一部の関連性が不眠症とMDDの一方または両方によって部分的に媒介されていることを示しています。 これらの結果は、片頭痛予防のためのさらなる栄養介入に対する新たな洞察を提供します。

具体的な食材があがると興味深い結果になりました

私が医師国家試験を受ける際には甲殻類、チョコレート、赤ワインが片頭痛のトリガーとなる食材であり頭痛がある人は控えましょうとご指導を受けました。

赤ワイン。チーズ。全粒粉や白パン(糖質)、油っこい魚がうつ病や不眠症ならびに片頭痛リスク上昇となるようです。どれもおいしい食材であることが悩ましいものです

私たちの食卓にならぶ不飽和脂肪酸を有する青魚は改善効果が高いかもしれません

  1. Xinhui Liu, Yuanyuan et al ; Frontiers in nutrition. 2023;10;1123657. pii: 1123657 #いま、日常生活にてお困り点はございませんか?#中原こころのクリニック #精神科 #心療内科#精神科訪問診療 #専門医 #うつ病 #発達障害 #パニック障害#統合失調症 #ADHD #ASD #引きこもり #認知症#武蔵小杉 #溝の口 #溝ノ口 #武蔵中原 ♯川崎市 #高津区 #中原区

ストレスチェック健診における考察

『労働安全衛生法』が改訂され2015年12月から労働者が50人以上の事業所にて毎年1回この検査を全ての労働者(契約期間が1年未満、労働時間が所定の労働時間に対して3/4未満の労働者は努力義務)に実施することが義務付けられました。高ストレスと評価された労働者の方は上司や産業医との面談を経て状況に応じて心療内科や精神科にて医療のサポートを受ける可否判断や環境調整をするスクリーニングテストです。施行から約10年経ち認知度も上がっている印象です。以下はストレスチェックにおける比較対象論文です

Predictability of the National Psychological Stress Screening for Subsequent Long-Term Psychiatric Sick Leave Among Employees: A Multicenter Nested Case-Control Study1).

従業員のその後の長期精神疾患による病気休暇に対する全国心理ストレススクリーニングの予測可能性:多施設ネスト型症例対照研究。

OBJECTIVE : The aim of the study is to predict employees’ long-term sick leave due to psychiatric disorders using the national psychological stress screening program.

目的: この研究の目的は、国家心理ストレススクリーニングプログラムを使用して、精神疾患による従業員の長期病気休暇を予測することです。

METHODS : University employees who took long-term psychiatric sick leave in 2016-2018 were assigned as cases. Those who were present at work and matched for sex, age, and occupation type were assigned as controls. Answers in a 57-item questionnaire were analyzed by multivariable regression, and a prediction model was developed. It was validated in cases and matched controls in 2019.

方法:2016年から2018年にかけて長期の精神疾患による病気休暇を取った大学職員を症例として割り当てた。職場にいて性別、年齢、職業の種類が一致する者を対照として割り当てた。57項目の質問票の回答を多変量回帰分析し、予測モデルを開発した。このモデルは2019年に症例と一致する対照で検証された。

RESULTS : Six items were identified as independent predictors by multivariable regression and included in a prediction model. The area under the receiver-operating characteristics curve was 0.768 (95% confidence interval: 0.723-0.813). This finding was similar to that in the validation sample.

結果: 多変量回帰分析により 6 つの項目が独立した予測因子として特定され、予測モデルに組み込まれました。受信者動作特性曲線の下の面積は 0.768 (95% 信頼区間: 0.723-0.813) でした。この結果は検証サンプルの結果と同様でした。

CONCLUSIONS : The performance of the prediction model was modest and the national Stress Check Program should be further refined.

結論: 予測モデルのパフォーマンスは中程度であり、国家ストレスチェックプログラムはさらに改良する必要がある。

ストレスチェックの予測モデルは文化的背景、ジェンダー、年齢環境といった交絡因子をより修正し特異性を高めていくことが見逃しや擬陽性を減らしていける健診につながることを示唆しております

1)  Takashi Kawamura, Daisuke Kobayashi;Journal of occupational and environmental medicine. 2024 May 01;66(5);433-438

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2025 営業に関して

2024年大変皆さまにお世話になりました。来年もスタッフ一同、患者様の症状を通して人生が好転できるようお手伝いをさせていただき本来のお力が発揮できるよう準備をしたいと考えております。

新年度のスタートは1/8(火曜日)からとなります。休診日ではございますが1/3はクリニックにて私が電話番をして診察や処方は出来ませんが、予約の変更や訪問診療の新規の受付ならびに行政や医療機関様からのお問い合わせに対応できるよう朝9時から1電話でご対応させていだきたいと考えております。御用がありましたらクリニックまで電話にてお問い合わせ頂ければ幸いです。また、当日は川崎市夜間救急当番でありますので16時30分まで在院予定でございます。新年度もよろしくお願い申し上げます

中原こころのクリニック 院長 四ノ宮 基

武蔵中原駅から徒歩1分の心療内科 “中原こころのクリニック”

「失われた自分らしさ」を取り戻し、心身ともに健康な姿をめざしませんか?訪問診療/往診/JR南武線武蔵中原よりアクセス良好/当日予約受付/固定医師によるかかりつけ制/自立支援医療・生活保護認定機関/武蔵新城/武蔵小杉/溝の口/溝ノ口/高津/川崎市/中原区/認知症/ひきこもり/うつ病/不眠症/発達障害/不登校/精神科/心療内科/精神科訪問診療

冬期休暇のお知らせ

 

年末年始のお休みは下記の通りとなります。

12月29日(日)~1月6日(月)迄

 

ご迷惑をお掛けいたしますが、何卒よろしくお願いいたします。

 

院長 四ノ宮基

 

武蔵中原駅から徒歩1分の心療内科 “中原こころのクリニック”

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診察室と予備診察

精神科及び心療内科にははじめてお迎えする患者様も久しぶりに来院される患者様もいらっしゃいます。不安や苦しい状況のなか、手書きで問診票を御記載頂いて恐縮です

医療の簡略化やIoT導入は大切ですが、問診票や診療情報提供書(紹介状)、公的扶助継続のための前医作成診断書複写は医療を円滑に進める上で大切な材料でございます

当院では精神科医療知識を有する医療スタッフにおける予備診察を問診の前に行います

様々な医療機関にて前期研修医、専修医、公認心理士や精神保健福祉士、医療事務スタッフにおける予備診察後に診察をさせていただく機会を得てきました。その結果一定の知識を有する担当者であれば医療者、福祉職、事務職において有意差が生じないことが分かりました。一方でWeb問診になると病歴や生活歴また主訴に特異性が損なわれ診察に影響があることも体得致しました。その為、当院では対面での予備診察を時間が掛かっても引き続き行い診察に繋げていこうと考えております。その為、初診の際にはお時間をいただくことがありますがご理解の程よろしくお願い申し上げます。

大事な診察室や予備診察室に素敵な絵をご寄贈頂いております

X年Y月に患者様のご家族の方から訪問診療のご依頼を受けました。

言動や行動がまとまらず生活が破綻している、どこの病院も対応が出来ないと断れてしまったと外来通院が困難な為に往診でご自宅での診察となりました。ご家族の手厚いサポートや心が別の世界にあっても1本の糸でつながれた家族の言葉のおかげで治療は思わぬ形で軌道に乗り始め元の生活を取り戻しましたが、ある日街中で意識を失い救急搬送され心臓の弁置換術を受けられました。自宅に帰り懸命なリハビリのなか、再び自力での生活を取り戻しましたが、今春虚血性心疾患によりご逝去されました。最後の砦としての治療場面における訪問診療は緊張感と責任感が常にある世界ですがご家族と共有した2年間の治療期間を大変ご評価していただきまた、難治性疾患の難しい局面においても強制治療を経ずに奏功していく貴重な経験をさせていただきました。ご自宅の居間に飾ってあった2枚の油絵はご兄弟が心を込めて描出された油絵でありいつも眺めながらご自宅にて治療をしておりました、血圧の管理においてガイドラインは日本やアメリカのガイドラインでは下がりきらず英国のガイドラインをベースに心負荷の軽減に努めておりましたが、貴重な2年でもありましたが価値ある命の時間はもう少し延長できたのではとも今でも思っています

ご家族とは患者様のご逝去後にもお声掛けを何度もいただき、貴重な絵はクリニックの診察室と予備診察室に装飾させていただくこととなりました。

診察室にはフランスのモンサンミッシェル、予備診察室には日本の美術館庭園で遭遇した光景と温かくも優しく美しい油絵です。患者様が診察に来ていただいたときに包み込む光でもあります。

高橋正卓様のご厚意に心より感謝申し上げます

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双極性感情障害におけるうつ相への気分安定薬に加えた薬物療法の検討

5人にひとりがうつ病を生涯において経験するといわれ、はや十年

圧倒的な速度で私生活を変えてしまったcovid-19の登場からはや5年となりました

精神疾患の罹患は全体的に増え、また未病であっても不登校や社会的引きこもりなど社会との接点が分断されている現状に私たちはいまも居ます

何のために生きるのか?

それぞれの方の人生観が見えなくなっていれば一緒に模索を、目標があれば進める支援を行えるクリニックでありたいです。双極性感情障害ほど初期研修医や学部生の時と解釈が変わった疾患はありません。躁的因子(bipolarity)を考慮すると人が抱える気分の大きな波は限られた人だけでなくより広義の視点で見ていく必要があるかと思います

ただ急速交代型の双極性感情障害であっても1年に4回の気分の変動でありますので1か月の間に何度も気分の上下がある場合は環境因子における心因反応と解釈します

本日は『双極性感情障害(躁うつ病)』に関する論文のご紹介です

双極 I 型障害の抑うつに対する維持療法における抗うつ薬の補助的投与期間

Duration of Adjunctive Antidepressant Maintenance in Bipolar I Depression

L.N. Yatham and Others

BACKGROUND

Antidepressants are used to treat acute depression in patients with bipolar I disorder, but their effect as maintenance treatment after the remission of depression has not been well studied

背景;双極 I 型障害患者では,急性の抑うつの治療に抗うつ薬が用いられるが,抑うつ寛解後の維持療法としての効果は十分に研究されていない.

METHODS

We conducted a multisite, double-blind, randomized, placebo-controlled trial of maintenance of treatment with adjunctive escitalopram or bupropion XL as compared with discontinuation of antidepressant therapy in patients with bipolar I disorder who had recently had remission of a depressive episode. Patients were randomly assigned in a 1:1 ratio to continue treatment with antidepressants for 52 weeks after remission or to switch to placebo at 8 weeks. The primary outcome, assessed in a time-to-event analysis, was any mood episode, as defined by scores on scales measuring symptoms of hypomania or mania, depression, suicidality, and mood-episode severity; additional treatment or hospitalization for mood symptoms; or attempted or completed suicide. Key secondary outcomes included the time to an episode of mania or hypomania or depression.

方法;抑うつエピソードが寛解してまもない双極 I 型障害患者を対象として,エスシタロプラムまたはブプロピオン XL(bupropion XL)を補助的に投与する維持療法を,抗うつ薬療法中止と比較する多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験を行った.患者を,寛解後 52 週間抗うつ薬の投与を継続する群と,8 週の時点でプラセボに切り替える群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要転帰はすべての気分エピソードとし,生存時間(time-to-event)解析で評価した.その定義は,症状評価尺度スコアに基づく軽躁,躁,抑うつ,自殺リスク,気分エピソードの重症度;気分症状に対する追加の治療または入院;自殺企図または自殺死亡とした.重要な副次的転帰は,躁/軽躁エピソードまでの期間,抑うつエピソードまでの期間などとした.

RESULTS

Of 209 patients with bipolar I disorder who participated in an open-label treatment phase, 150 who had remission of depression were enrolled in the double-blind phase in addition to 27 patients who were enrolled directly. A total of 90 patients were assigned to continue treatment with the prescribed antidepressant for 52 weeks (52-week group) and 87 were assigned to switch to placebo at 8 weeks (8-week group). The trial was stopped before full recruitment was reached owing to slow recruitment and funding limitations. At 52 weeks, 28 of the patients in the 52-week group (31%) and 40 in the 8-week group (46%) had a primary-outcome event. The hazard ratio for time to any mood episode in the 52-week group relative to the 8-week group was 0.68 (95% confidence interval [CI], 0.43 to 1.10; P=0.12 by log-rank test). A total of 11 patients in the 52-week group (12%) as compared with 5 patients in the 8-week group (6%) had mania or hypomania (hazard ratio, 2.28; 95% CI, 0.86 to 6.08), and 15 patients (17%) as compared with 35 patients (40%) had recurrence of depression (hazard ratio, 0.43; 95% CI, 0.25 to 0.75). The incidence of adverse events was similar in the two groups.

結果:非盲検投与期に参加した双極 I 型障害患者 209 例のうち,抑うつが寛解した 150 例が,直接組み入れられた 27 例とともに二重盲検期に組み入れられた.90 例が処方された抗うつ薬の投与を 52 週間継続する群(52 週群)に割り付けられ,87 例が 8 週の時点でプラセボに切り替える群(8 週群)に割り付けられた.登録が進まなかったことと研究費の限界のため,試験は募集人数に達する前に中止された.52 週の時点で,主要転帰のイベントは 52 週群の 28 例(31%)と 8 週群の 40 例(46%)に生じていた.52 週群の,8 週群に対するすべての気分エピソードを発症するまでの期間のハザード比は,0.68(95%信頼区間 [CI] 0.43~1.10,log-rank 検定で P=0.12)であった.躁/軽躁エピソードは,52 週群では 11 例(12%)に発生したのに対し,8 週群では 5 例(6%)であり(ハザード比 2.28,95% CI 0.86~6.08),抑うつエピソードの再発は,52 週群では 15 例(17%)に認められたのに対し,8 週群では 35 例(40%)であった(ハザード比 0.43,95% CI 0.25~0.75).有害事象の発現率は 2 群で同程度であった.

CONCLUSION

In a trial involving patients with bipolar I disorder and a recently remitted depressive episode, adjunctive treatment with escitalopram or bupropion XL that continued for 52 weeks did not show a significant benefit as compared with treatment for 8 weeks in preventing relapse of any mood episode. The trial was stopped early owing to slow recruitment and funding limitations. (Funded by the Canadian Institutes of Health Research; ClinicalTrials.gov number, NCT00958633. opens in new tab.)

結論:抑うつエピソードが寛解してまもない双極 I 型障害患者を対象とした試験において,エスシタロプラムまたはブプロピオン XL の補助的投与を 52 週間継続しても,8 週間投与した場合と比較して,すべての気分エピソードの再発予防における有意な利益は認められなかった.登録が進まなかったことと研究費の限界のため,試験は早期に中止された.(カナダ健康研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00958633)エスシタロプラムはもっとも躁転しにくい抗うつ薬でもあります維持療法に優位な効果がないとの論文は私個人の薬剤調整では深い落ち込みを予防するためにSSRIも候補にいれておりますので意外性もありました。引き続き臨床で評価検証を継続したいと思います

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夏季休暇のお知らせ

酷暑のなか、コロナウイルスならびにパルボウイルス等感染症の影響が続いております変異するウイルスに対応する私たちの免疫力が下がらないよう給水のみならずしっかりとした栄養や睡眠の確保をしていきましょう

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梅雨入りの声な否や気温と湿度が上昇し身体のペースが追いつきにくい日々です

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昨年に引き続き、高校生から総合研究発表における質疑があり6月28日にオンラインでの講義をさせていただきました。『暗記学習に効果的な音楽とは?』『睡眠の質を向上させるには?』。2つの班からのお問い合わせにレジュメを作成し、Zoomを介して知識の共有と発表におけるご助言といったお仕事です。テーマは私たちの生活の質を向上させる興味深いものであり、とても熱心な学生の方々との対話は興味深いものでした。限られた高校生活を価値があるものとし社会にこれから羽ばたく若い人の前向きな姿勢に有難い機会を与えていただき感謝致します。また、仕事の都合上夜間の講義にも関わらずファシリテーターの方、担任の先生も時間外の対応をしてくださり誠にありがとうございます。効果的な学習や良質な睡眠から日々の生活がより良いものになることを願っております。勉強会講師にお声掛けいただいた、パル薬局薬剤師(慶応義塾大学/昭和薬科大学)三谷先生が日本老年期薬学会総会でご発表されました地域高齢者フォーミュラリ(睡眠薬)に関してアドバイザーとして関わらせていただきました。論文は読むだけの生活となっている町医者が調べものをして臨床経験と合わせてお役に立てるのであれば再度勉強を仕上げる貴重な機会をいただいていると実感しております。現在は高齢者施設認知症治療のフォーミュラリにも関わらせていただいています。当院でもグループホームなどで在宅精神療法のもと高齢者認知症治療を行っておりますが、医療は非力であり現場の声や協力内科医療機関、福祉との併走、地域包括ケアシステムにおける行政との関わりから治療の捉え方は確実に変わってきております

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