身体化症状としての頭痛

頭痛を引き起こす原因は様々なものがあります

精神科領域ではうつ病や不安障害、自閉症スペクトラム障害の方に多い印象があります

頭蓋内占拠性病変、脳の腫瘍や血管腫。過去の出血後における血種などによるもの

また、偏頭痛のように脳血管における収縮不全(一部の血管が拡張したままの状態)。

髄膜炎や帯状疱疹、エピソードのない外傷、神経変性疾患

原因を探していくことが治療の入り口としましては大変重要です

どこをまず受診したらいいのかと尋ねられたら、神経内科や脳神経外科をお勧めします

検査に至るがどうかは現場の医師判断になりますが、画像検査も診断への近道となります

町医者になってから頭痛の治療に関わることが多いです

年齢層も幅広く、学童期から老年期。女性が多い印象です

きっかけはワクチン接種であったり、コロナ罹患がありますが果たして因果関係があるのかどうかは数年から数十年のコホート研究を待たなくてはいけません

一方で治療者としては目先の症状緩和についてなんとかして対応したいと考えておりますが、私は頭痛のエキスパートではありませんが予防薬と治療薬の仕分けをしながら対応していきます。治療というものはこの時代、医師からの提案と患者様希望を摺合せていくshared decision makingのベースとなるのは治療のガイドラインです

これはインターネットでも閲覧印刷が可能でありますし、大概の疾患については購入も可能です。よくならないご自身の内科領域を含めた疾患についてはガイドラインを参照になって医師と一緒に治療の整合性をすり合わせそこに専門医の治療経験を上乗せしていくことがあらゆる疾患における治療の奏効率を引き上げていくことと、医療機関選別に繋がることでしょう。本日は頭痛に関する新しい論文のご紹介となります

Association between dietary habits and the risk of migraine: a Mendelian randomization study

食習慣と片頭痛のリスクとの関連性: メンデルランダム化研究

OBJECTIVE : The important contribution of dietary triggers to migraine pathogenesis has been recognized. However, the potential causal roles of many dietary habits on the risk of migraine in the whole population are still under debate. The objective of this study was to determine the potential causal association between dietary habits and the risk of migraine (and its subtypes) development, as well as the possible mediator roles of migraine risk factors.

目的: 片頭痛の発症に対する食事の誘因の重要な寄与が認識されています。 しかし、人口全体における片頭痛のリスクに対する多くの食習慣の潜在的な因果関係については、まだ議論の余地があります。 この研究の目的は、食習慣と片頭痛(およびそのサブタイプ)発症リスクとの間の潜在的な因果関係、および片頭痛危険因子のメディエーターの役割の可能性を明らかにすることでした

METHODS : Based on summary statistics from large-scale genome-wide association studies, we conducted two-sample Mendelian randomization (MR) and bidirectional MR to investigate the potential causal associations between 83 dietary habits and migraine and its subtypes, and network MR was performed to explore the possible mediator roles of 8 migraine risk factors.

方法 : 大規模なゲノムワイド関連研究の概要統計に基づいて、83 の食習慣と片頭痛およびそのサブタイプの間の潜在的な因果関係を調査するために、2 サンプルのメンデルランダム化 (MR) および双方向 MR を実施し、ネットワーク MR を実施しました。 8つの片頭痛危険因子のメディエーターの役割の可能性を探ります。

結果 : 複数の検査を補正した結果、遺伝的に予測されたコーヒー、チーズ、脂っこい魚、アルコール (赤ワイン)、生野菜、ミューズリー、全粒粉/全粒パンの摂取と片頭痛のリスクとの関連性の証拠が見つかりました。これらのオッズ比はさまざまでした。 現在の飲酒者の全体的なチーズ摂取量の0.78 (95% CI: 0.63-0.95) から、通常食事と一緒に飲む飲み物の0.61 (95% CI: 0.47-0.80) まで (はい + いいえと比べて変化します)。 一方、白パン、コーンフレーク/フロスティ、鶏肉の摂取は片頭痛のリスクと正の相関がありました。 さらに、白パン、全粒粉/全粒パン、ミューズリー、アルコール(赤ワイン)、チーズ、脂っこい魚の摂取に対する遺伝的傾向は、不眠症および(または)大うつ病性障害(MDD)のリスクの上昇と関連していた可能性があります。 いくつかの食習慣から片頭痛に至る経路の仲介者として機能します。 最後に、遺伝的に予測された片頭痛と飲酒の種類との間には負の関連があり、片頭痛と1日あたりのお茶の量には正の関連があるという証拠を発見しました

SIGNIFICANCE : Our study provides evidence about association between dietary habits and the risk of migraine and demonstrates that some associations are partly mediated through one or both insomnia and MDD. These results provide new insights for further nutritional interventions for migraine prevention.

重要性:私たちの研究は、食習慣と片頭痛のリスクとの関連性に関する証拠を提供し、一部の関連性が不眠症とMDDの一方または両方によって部分的に媒介されていることを示しています。 これらの結果は、片頭痛予防のためのさらなる栄養介入に対する新たな洞察を提供します。

具体的な食材があがると興味深い結果になりました

私が医師国家試験を受ける際には甲殻類、チョコレート、赤ワインが片頭痛のトリガーとなる食材であり頭痛がある人は控えましょうとご指導を受けました。

赤ワイン。チーズ。全粒粉や白パン(糖質)、油っこい魚がうつ病や不眠症ならびに片頭痛リスク上昇となるようです。どれもおいしい食材であることが悩ましいものです

私たちの食卓にならぶ不飽和脂肪酸を有する青魚は改善効果が高いかもしれません

  1. Xinhui Liu, Yuanyuan et al ; Frontiers in nutrition. 2023;10;1123657. pii: 1123657 #いま、日常生活にてお困り点はございませんか?#中原こころのクリニック #精神科 #心療内科#精神科訪問診療 #専門医 #うつ病 #発達障害 #パニック障害#統合失調症 #ADHD #ASD #引きこもり #認知症#武蔵小杉 #溝の口 #溝ノ口 #武蔵中原 ♯川崎市 #高津区 #中原区

ストレスチェック健診における考察

『労働安全衛生法』が改訂され2015年12月から労働者が50人以上の事業所にて毎年1回この検査を全ての労働者(契約期間が1年未満、労働時間が所定の労働時間に対して3/4未満の労働者は努力義務)に実施することが義務付けられました。高ストレスと評価された労働者の方は上司や産業医との面談を経て状況に応じて心療内科や精神科にて医療のサポートを受ける可否判断や環境調整をするスクリーニングテストです。施行から約10年経ち認知度も上がっている印象です。以下はストレスチェックにおける比較対象論文です

Predictability of the National Psychological Stress Screening for Subsequent Long-Term Psychiatric Sick Leave Among Employees: A Multicenter Nested Case-Control Study1).

従業員のその後の長期精神疾患による病気休暇に対する全国心理ストレススクリーニングの予測可能性:多施設ネスト型症例対照研究。

OBJECTIVE : The aim of the study is to predict employees’ long-term sick leave due to psychiatric disorders using the national psychological stress screening program.

目的: この研究の目的は、国家心理ストレススクリーニングプログラムを使用して、精神疾患による従業員の長期病気休暇を予測することです。

METHODS : University employees who took long-term psychiatric sick leave in 2016-2018 were assigned as cases. Those who were present at work and matched for sex, age, and occupation type were assigned as controls. Answers in a 57-item questionnaire were analyzed by multivariable regression, and a prediction model was developed. It was validated in cases and matched controls in 2019.

方法:2016年から2018年にかけて長期の精神疾患による病気休暇を取った大学職員を症例として割り当てた。職場にいて性別、年齢、職業の種類が一致する者を対照として割り当てた。57項目の質問票の回答を多変量回帰分析し、予測モデルを開発した。このモデルは2019年に症例と一致する対照で検証された。

RESULTS : Six items were identified as independent predictors by multivariable regression and included in a prediction model. The area under the receiver-operating characteristics curve was 0.768 (95% confidence interval: 0.723-0.813). This finding was similar to that in the validation sample.

結果: 多変量回帰分析により 6 つの項目が独立した予測因子として特定され、予測モデルに組み込まれました。受信者動作特性曲線の下の面積は 0.768 (95% 信頼区間: 0.723-0.813) でした。この結果は検証サンプルの結果と同様でした。

CONCLUSIONS : The performance of the prediction model was modest and the national Stress Check Program should be further refined.

結論: 予測モデルのパフォーマンスは中程度であり、国家ストレスチェックプログラムはさらに改良する必要がある。

ストレスチェックの予測モデルは文化的背景、ジェンダー、年齢環境といった交絡因子をより修正し特異性を高めていくことが見逃しや擬陽性を減らしていける健診につながることを示唆しております

1)  Takashi Kawamura, Daisuke Kobayashi;Journal of occupational and environmental medicine. 2024 May 01;66(5);433-438

#いま、日常生活にてお困り点はございませんか?

#中原こころのクリニック #精神科 #心療内科#精神科訪問診療 #専門医 #うつ病 #発達障害 #パニック障害#統合失調症 #ADHD #ASD #引きこもり #認知症#武蔵小杉 #溝の口 #溝ノ口 #武蔵中原

♯川崎市 #高津区 #中原区 

2025 営業に関して

2024年大変皆さまにお世話になりました。来年もスタッフ一同、患者様の症状を通して人生が好転できるようお手伝いをさせていただき本来のお力が発揮できるよう準備をしたいと考えております。

新年度のスタートは1/8(火曜日)からとなります。休診日ではございますが1/3はクリニックにて私が電話番をして診察や処方は出来ませんが、予約の変更や訪問診療の新規の受付ならびに行政や医療機関様からのお問い合わせに対応できるよう朝9時から1電話でご対応させていだきたいと考えております。御用がありましたらクリニックまで電話にてお問い合わせ頂ければ幸いです。また、当日は川崎市夜間救急当番でありますので16時30分まで在院予定でございます。新年度もよろしくお願い申し上げます

中原こころのクリニック 院長 四ノ宮 基

武蔵中原駅から徒歩1分の心療内科 “中原こころのクリニック”

「失われた自分らしさ」を取り戻し、心身ともに健康な姿をめざしませんか?訪問診療/往診/JR南武線武蔵中原よりアクセス良好/当日予約受付/固定医師によるかかりつけ制/自立支援医療・生活保護認定機関/武蔵新城/武蔵小杉/溝の口/溝ノ口/高津/川崎市/中原区/認知症/ひきこもり/うつ病/不眠症/発達障害/不登校/精神科/心療内科/精神科訪問診療

冬期休暇のお知らせ

 

年末年始のお休みは下記の通りとなります。

12月29日(日)~1月6日(月)迄

 

ご迷惑をお掛けいたしますが、何卒よろしくお願いいたします。

 

院長 四ノ宮基

 

武蔵中原駅から徒歩1分の心療内科 “中原こころのクリニック”

「失われた自分らしさ」を取り戻し、心身ともに健康な姿をめざしませんか?訪問診療/往診/JR南武線武蔵中原よりアクセス良好/当日予約受付/固定医師によるかかりつけ制/自立支援医療・生活保護認定機関/武蔵新城/武蔵小杉/溝の口/川崎市/中原区

診察室と予備診察

精神科及び心療内科にははじめてお迎えする患者様も久しぶりに来院される患者様もいらっしゃいます。不安や苦しい状況のなか、手書きで問診票を御記載頂いて恐縮です

医療の簡略化やIoT導入は大切ですが、問診票や診療情報提供書(紹介状)、公的扶助継続のための前医作成診断書複写は医療を円滑に進める上で大切な材料でございます

当院では精神科医療知識を有する医療スタッフにおける予備診察を問診の前に行います

様々な医療機関にて前期研修医、専修医、公認心理士や精神保健福祉士、医療事務スタッフにおける予備診察後に診察をさせていただく機会を得てきました。その結果一定の知識を有する担当者であれば医療者、福祉職、事務職において有意差が生じないことが分かりました。一方でWeb問診になると病歴や生活歴また主訴に特異性が損なわれ診察に影響があることも体得致しました。その為、当院では対面での予備診察を時間が掛かっても引き続き行い診察に繋げていこうと考えております。その為、初診の際にはお時間をいただくことがありますがご理解の程よろしくお願い申し上げます。

大事な診察室や予備診察室に素敵な絵をご寄贈頂いております

X年Y月に患者様のご家族の方から訪問診療のご依頼を受けました。

言動や行動がまとまらず生活が破綻している、どこの病院も対応が出来ないと断れてしまったと外来通院が困難な為に往診でご自宅での診察となりました。ご家族の手厚いサポートや心が別の世界にあっても1本の糸でつながれた家族の言葉のおかげで治療は思わぬ形で軌道に乗り始め元の生活を取り戻しましたが、ある日街中で意識を失い救急搬送され心臓の弁置換術を受けられました。自宅に帰り懸命なリハビリのなか、再び自力での生活を取り戻しましたが、今春虚血性心疾患によりご逝去されました。最後の砦としての治療場面における訪問診療は緊張感と責任感が常にある世界ですがご家族と共有した2年間の治療期間を大変ご評価していただきまた、難治性疾患の難しい局面においても強制治療を経ずに奏功していく貴重な経験をさせていただきました。ご自宅の居間に飾ってあった2枚の油絵はご兄弟が心を込めて描出された油絵でありいつも眺めながらご自宅にて治療をしておりました、血圧の管理においてガイドラインは日本やアメリカのガイドラインでは下がりきらず英国のガイドラインをベースに心負荷の軽減に努めておりましたが、貴重な2年でもありましたが価値ある命の時間はもう少し延長できたのではとも今でも思っています

ご家族とは患者様のご逝去後にもお声掛けを何度もいただき、貴重な絵はクリニックの診察室と予備診察室に装飾させていただくこととなりました。

診察室にはフランスのモンサンミッシェル、予備診察室には日本の美術館庭園で遭遇した光景と温かくも優しく美しい油絵です。患者様が診察に来ていただいたときに包み込む光でもあります。

高橋正卓様のご厚意に心より感謝申し上げます

#いま、日常生活にてお困り点はございませんか?

#中原こころのクリニック #精神科 #心療内科#精神科訪問診療 #専門医 #うつ病 #発達障害 #パニック障害#統合失調症 #ADHD #ASD #引きこもり #認知症#武蔵小杉 #溝の口 #溝ノ口 #武蔵中原

♯川崎市 #高津区 #中原区 

双極性感情障害におけるうつ相への気分安定薬に加えた薬物療法の検討

5人にひとりがうつ病を生涯において経験するといわれ、はや十年

圧倒的な速度で私生活を変えてしまったcovid-19の登場からはや5年となりました

精神疾患の罹患は全体的に増え、また未病であっても不登校や社会的引きこもりなど社会との接点が分断されている現状に私たちはいまも居ます

何のために生きるのか?

それぞれの方の人生観が見えなくなっていれば一緒に模索を、目標があれば進める支援を行えるクリニックでありたいです。双極性感情障害ほど初期研修医や学部生の時と解釈が変わった疾患はありません。躁的因子(bipolarity)を考慮すると人が抱える気分の大きな波は限られた人だけでなくより広義の視点で見ていく必要があるかと思います

ただ急速交代型の双極性感情障害であっても1年に4回の気分の変動でありますので1か月の間に何度も気分の上下がある場合は環境因子における心因反応と解釈します

本日は『双極性感情障害(躁うつ病)』に関する論文のご紹介です

双極 I 型障害の抑うつに対する維持療法における抗うつ薬の補助的投与期間

Duration of Adjunctive Antidepressant Maintenance in Bipolar I Depression

L.N. Yatham and Others

BACKGROUND

Antidepressants are used to treat acute depression in patients with bipolar I disorder, but their effect as maintenance treatment after the remission of depression has not been well studied

背景;双極 I 型障害患者では,急性の抑うつの治療に抗うつ薬が用いられるが,抑うつ寛解後の維持療法としての効果は十分に研究されていない.

METHODS

We conducted a multisite, double-blind, randomized, placebo-controlled trial of maintenance of treatment with adjunctive escitalopram or bupropion XL as compared with discontinuation of antidepressant therapy in patients with bipolar I disorder who had recently had remission of a depressive episode. Patients were randomly assigned in a 1:1 ratio to continue treatment with antidepressants for 52 weeks after remission or to switch to placebo at 8 weeks. The primary outcome, assessed in a time-to-event analysis, was any mood episode, as defined by scores on scales measuring symptoms of hypomania or mania, depression, suicidality, and mood-episode severity; additional treatment or hospitalization for mood symptoms; or attempted or completed suicide. Key secondary outcomes included the time to an episode of mania or hypomania or depression.

方法;抑うつエピソードが寛解してまもない双極 I 型障害患者を対象として,エスシタロプラムまたはブプロピオン XL(bupropion XL)を補助的に投与する維持療法を,抗うつ薬療法中止と比較する多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験を行った.患者を,寛解後 52 週間抗うつ薬の投与を継続する群と,8 週の時点でプラセボに切り替える群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要転帰はすべての気分エピソードとし,生存時間(time-to-event)解析で評価した.その定義は,症状評価尺度スコアに基づく軽躁,躁,抑うつ,自殺リスク,気分エピソードの重症度;気分症状に対する追加の治療または入院;自殺企図または自殺死亡とした.重要な副次的転帰は,躁/軽躁エピソードまでの期間,抑うつエピソードまでの期間などとした.

RESULTS

Of 209 patients with bipolar I disorder who participated in an open-label treatment phase, 150 who had remission of depression were enrolled in the double-blind phase in addition to 27 patients who were enrolled directly. A total of 90 patients were assigned to continue treatment with the prescribed antidepressant for 52 weeks (52-week group) and 87 were assigned to switch to placebo at 8 weeks (8-week group). The trial was stopped before full recruitment was reached owing to slow recruitment and funding limitations. At 52 weeks, 28 of the patients in the 52-week group (31%) and 40 in the 8-week group (46%) had a primary-outcome event. The hazard ratio for time to any mood episode in the 52-week group relative to the 8-week group was 0.68 (95% confidence interval [CI], 0.43 to 1.10; P=0.12 by log-rank test). A total of 11 patients in the 52-week group (12%) as compared with 5 patients in the 8-week group (6%) had mania or hypomania (hazard ratio, 2.28; 95% CI, 0.86 to 6.08), and 15 patients (17%) as compared with 35 patients (40%) had recurrence of depression (hazard ratio, 0.43; 95% CI, 0.25 to 0.75). The incidence of adverse events was similar in the two groups.

結果:非盲検投与期に参加した双極 I 型障害患者 209 例のうち,抑うつが寛解した 150 例が,直接組み入れられた 27 例とともに二重盲検期に組み入れられた.90 例が処方された抗うつ薬の投与を 52 週間継続する群(52 週群)に割り付けられ,87 例が 8 週の時点でプラセボに切り替える群(8 週群)に割り付けられた.登録が進まなかったことと研究費の限界のため,試験は募集人数に達する前に中止された.52 週の時点で,主要転帰のイベントは 52 週群の 28 例(31%)と 8 週群の 40 例(46%)に生じていた.52 週群の,8 週群に対するすべての気分エピソードを発症するまでの期間のハザード比は,0.68(95%信頼区間 [CI] 0.43~1.10,log-rank 検定で P=0.12)であった.躁/軽躁エピソードは,52 週群では 11 例(12%)に発生したのに対し,8 週群では 5 例(6%)であり(ハザード比 2.28,95% CI 0.86~6.08),抑うつエピソードの再発は,52 週群では 15 例(17%)に認められたのに対し,8 週群では 35 例(40%)であった(ハザード比 0.43,95% CI 0.25~0.75).有害事象の発現率は 2 群で同程度であった.

CONCLUSION

In a trial involving patients with bipolar I disorder and a recently remitted depressive episode, adjunctive treatment with escitalopram or bupropion XL that continued for 52 weeks did not show a significant benefit as compared with treatment for 8 weeks in preventing relapse of any mood episode. The trial was stopped early owing to slow recruitment and funding limitations. (Funded by the Canadian Institutes of Health Research; ClinicalTrials.gov number, NCT00958633. opens in new tab.)

結論:抑うつエピソードが寛解してまもない双極 I 型障害患者を対象とした試験において,エスシタロプラムまたはブプロピオン XL の補助的投与を 52 週間継続しても,8 週間投与した場合と比較して,すべての気分エピソードの再発予防における有意な利益は認められなかった.登録が進まなかったことと研究費の限界のため,試験は早期に中止された.(カナダ健康研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00958633)エスシタロプラムはもっとも躁転しにくい抗うつ薬でもあります維持療法に優位な効果がないとの論文は私個人の薬剤調整では深い落ち込みを予防するためにSSRIも候補にいれておりますので意外性もありました。引き続き臨床で評価検証を継続したいと思います

#いま、日常生活にてお困り点はございませんか?

#中原こころのクリニック #精神科 #心療内科#精神科訪問診療 #専門医 #うつ病 #発達障害 #パニック障害#統合失調症 #ADHD #ASD #引きこもり #認知症#武蔵小杉 #溝の口 #溝ノ口 #武蔵中原

♯川崎市 #高津区 #中原区 

夏季休暇のお知らせ

酷暑のなか、コロナウイルスならびにパルボウイルス等感染症の影響が続いております変異するウイルスに対応する私たちの免疫力が下がらないよう給水のみならずしっかりとした栄養や睡眠の確保をしていきましょう

今年度は8/8(木曜日)から8/12(月曜日)まで夏季休暇を頂きます。療養中の患者、関係医療機関にはご迷惑をお掛けしますがご理解のほど宜しくお願い申し上げます

クリニック以外のお仕事

梅雨入りの声な否や気温と湿度が上昇し身体のペースが追いつきにくい日々です

朝と夕のスイッチを切り替えて対応できるお手伝いができるよう心掛けていきます

昨年に引き続き、高校生から総合研究発表における質疑があり6月28日にオンラインでの講義をさせていただきました。『暗記学習に効果的な音楽とは?』『睡眠の質を向上させるには?』。2つの班からのお問い合わせにレジュメを作成し、Zoomを介して知識の共有と発表におけるご助言といったお仕事です。テーマは私たちの生活の質を向上させる興味深いものであり、とても熱心な学生の方々との対話は興味深いものでした。限られた高校生活を価値があるものとし社会にこれから羽ばたく若い人の前向きな姿勢に有難い機会を与えていただき感謝致します。また、仕事の都合上夜間の講義にも関わらずファシリテーターの方、担任の先生も時間外の対応をしてくださり誠にありがとうございます。効果的な学習や良質な睡眠から日々の生活がより良いものになることを願っております。勉強会講師にお声掛けいただいた、パル薬局薬剤師(慶応義塾大学/昭和薬科大学)三谷先生が日本老年期薬学会総会でご発表されました地域高齢者フォーミュラリ(睡眠薬)に関してアドバイザーとして関わらせていただきました。論文は読むだけの生活となっている町医者が調べものをして臨床経験と合わせてお役に立てるのであれば再度勉強を仕上げる貴重な機会をいただいていると実感しております。現在は高齢者施設認知症治療のフォーミュラリにも関わらせていただいています。当院でもグループホームなどで在宅精神療法のもと高齢者認知症治療を行っておりますが、医療は非力であり現場の声や協力内科医療機関、福祉との併走、地域包括ケアシステムにおける行政との関わりから治療の捉え方は確実に変わってきております

外での仕事はクリニック内での仕事に繋がります。限られた時間の中からアウトプットを軽視せず、ご依頼いただいたお仕事を手掛けられるようでありたいです

暑くなってきましたので皆さま体調、心身のバランスにご自愛ください

「失われた自分らしさ」を取り戻し、心身ともに健康な姿をめざしませんか?

訪問診療/往診/JR南武線武蔵中原よりアクセス良好/当日予約受付/固定医師によるかかりつけ制/自立支援医療・生活保護認定機関/武蔵新城/武蔵小杉/日吉/新丸子/溝の口/溝ノ口/高津/川崎市/中原区/認知症/ひきこもり/うつ病/不眠症/発達障害/不登校/精神科/心療内科/精神科訪問診療/精神科専門医/認知症サポート医

睡眠の重要性と薬物療法に関わる医師の視座

調子が悪くなると布団からの行動を起こしにくくなるものです二度寝をしてしまったり、同じ事柄を繰り返し考えたり…..

ベッドの上での時間は極力短くすっきりと起きられるようご支援ができればと考えております。睡眠は眠前の過度な運動や直前に食事をして消化管を動かさないことが大切です

また視覚への刺激を避けるために暗闇でのタブレット端末操作も可能な限り少ない方が望ましいです。部屋を暗くし、カフェインフリーの飲料を夕方以降に飲まれることも重要でしょう。それでも寝むれない場合は睡眠薬を検討しましょう

様々な睡眠薬があります。最近では市販の睡眠薬もございますが、作用機序としては抗ヒスタミン作用(アレルギーのお薬や総合感冒薬)で眠くなるのと同じ機序であり入眠はよくても寝ざめが悪くりで受診される方も多くいらっしゃいます

睡眠は時間というよりは質、起床時の熟眠感と疲労の回復を意識していきましょう

今日の論文は精神科に限らず睡眠薬が大学病院にてどうように処方されているか検証されたものです

Trends in the multiple prescriptions of hypnotic drugs in a university outpatient in Japan.

日本の大学外来における催眠薬の複数処方の傾向。

AIMS : In Japan, the daily dosage of hypnotic drugs for insomnia treatment is increasing year by year, and over-dependence on treatment with hypnotic drugs is a major problem. This study aimed to examine the factors related to the elimination of prescriptions of three or more hypnotic drugs within 1 year in our clinic.

目的 : 日本では、不眠症治療のための睡眠薬の一日当たりの投与量は年々増加しており、睡眠薬治療への過度の依存が大きな問題となっています。 この研究は、当院において1 年以内に3種類以上の催眠薬の処方がなくなることに関する要因を調査することを目的としました。

METHODS : We conducted two surveys. Survey ① assessed the frequency of prescriptions of three or more hypnotic drugs by retrospectively reviewing the medical records of all patients who visited general and psychiatric outpatient clinics from January 2013 to March 2019. Survey ② assessed changes in prescriptions of hypnotic and psychotropic drugs within the subsequent year by retrospectively reviewing the medical records of all patients prescribed three or more hypnotic drugs who visited neuropsychiatric outpatient clinics multiple times between April 2013 and March 2019.

方法 : 2つの調査を実施しました。 調査①では、2013年1月から2019年3月までに一般外来および精神科外来を受診した全患者の診療記録を遡及的に調査し、3種類以上の睡眠薬の処方頻度を評価しました。調査②では、その後の1年間における睡眠薬および向精神薬の処方の変化を評価しました。 2013年4月から2019年3月までの間に精神神経科の外来を複数回訪れ、3種類以上の睡眠薬を処方されたすべての患者の医療記録を遡及的に調査して、1年間の評価を行った。

RESULTS : The frequency of prescribing three or more hypnotic drugs was six to nine times higher in psychiatry than in other departments. Flunitrazepam and brotizolam were the most common drugs prescribed and had the second lowest discontinuation rate after zolpidem. Conversely, eszopiclone, zopiclone, and suvorexant had the highest discontinuation rates. The success factors for drug reduction were age (odds ratio [OR]: 0.97, p < 0.0037), trazodone addition (OR: 12.86, p < 0.0194) and number of years of psychiatric experience.

結果 : 精神科では 3 種類以上の催眠薬を処方する頻度が他の科より 6 ~ 9 倍高かった。 フルニトラゼパムとブロチゾラムは最も一般的に処方されている薬剤であり、中止率はゾルピデムに次いで 2 番目に低かった。 逆に、エスゾピクロン、ゾピクロン、スボレキサントの中止率が最も高かった。 減薬の成功要因は、年齢(オッズ比[OR]: 0.97、p < 0.0037)、トラゾドンの追加(OR: 12.86、p < 0.0194)、精神科経験年数であった

CONCLUSIONS : The characteristics and success factors in relation to drug reduction in patients with multiple prescriptions of hypnotic drugs identified in this study may contribute to solving the problem of multiple prescriptions of hypnotic drugs.

結論:本研究で特定された睡眠薬を複数処方されている患者の減薬に関する特徴と成功要因は、催眠薬の複数処方の問題解決に貢献する可能性がある

精神科では3剤以上の睡眠薬と抗不安薬の内服はできません。それでも処方されている現状は睡眠薬への耐性が主たるものではありますが、長年内服してきた睡眠薬の変更に不安を感じる患者様が一定数いらっしゃることもございます。現在での内科の先生を中心に睡眠薬をブロチゾラムやフルニトラゼパムから開始されることがありますが、どちらも力価が強い為に精神科においてはこの2剤から処方されることはまずありません。初手はあくばでも非ベンゾジアゼピン系、または肝機能障害をおこさないロルメタゼパム。また適応外処方として眠前に使われるトラゾドンは抗うつ薬ではありますが、睡眠の深度を深くする作用がございます。具体的には睡眠の第3相と4相の割合が増えていきます、ただ難治性の睡眠障害の方には200㎎前後を使用しても効果に乏しい場合もあり。適応外処方を含めた再構成が求められますが環境因子へのアプローチが薬剤の選定以上に精神科医が目を配らせ、変容を共有していく必要があります

  1. Takao Kato, Nozomu Kotorii,et al; Neuropsychopharmacology reports. 2023 Nov 09; doi: 10.1002/npr2.12386.

#中原こころのクリニック#精神科 #心療内科

#精神科専門医 #精神保健指定医 #認知症サポート医

#精神科訪問診療#うつ病 #発達障害 #パニック障害

#統合失調症 #ADHD #ASD #引きこもり #認知症

#武蔵小杉 #溝の口 #溝ノ口 #武蔵中原 ♯川崎市 #高津区 #中原区

ミライ☆在宅委員会 第2回目講義 ご報告

小雨が降る寒い日曜日の夜にミューザ川崎4F会議室にて認定薬剤師(及び医療関係者や一般の方)向けに講義をさせていただきました。今回は90分という長い時間と準備期間がありましたので『不安』について疾患の理解、また精神科医の診断加療についてロールプレイを作成し実際に目の前で実演を致しました。包括的ケアというのは医療福祉教育が併行して支援に入ることです。一方で、他者の職責を理解しないまま仕事をすると近視眼的になりがちであり相互のコミュニケーションの前段階として相互の職責理解があると考えております。質問も事前にも講義後にも頂き強い関心を示してくださりありがとうございました

私の登壇は2回目ですが、2回目に及びいただけることは凄く価値があるという裏話も教えていただき、また3年後あたりでしょうか時勢に沿った価値ある貴重な休日の時間を価値がある時間として共有出来たらうれしく思います

主宰のミライ☆在宅移行委員会学術委員先生、オンラインを含めて聴講してくださった方皆様の勉強したいという強い熱気に乗せてもらう講義をさせていただきありがとうございました。自社作成やキュレーションサイトが作成した医師評価のアンケートばかり蔓延る世の中ですので生生しい参加者のアンケートをいただいたので転載致します

#いま、日常生活にてお困り点はございませんか?

#中原こころのクリニック #精神科 #心療内科#精神科訪問診療 #専門医 #うつ病 #発達障害 #パニック障害#統合失調症 #ADHD #ASD #引きこもり #認知症#武蔵小杉 #溝の口 #溝ノ口 #武蔵中原♯川崎市 #高津区 #中原区