私は幼少期に食が細く、肺炎となり大学病院入院したことがあります。
当時からどうも医療機関受診については抵抗感や不安が拭えませんでした
かかりつけ医を選ぶ基準は100人いれば100通りがあり、相性も一概なものではないかと思います。医師の専門は自由標榜性に基づいております。
自由標榜性とは医師が自分の専門を自由に選定できることです
私は心療内科医や精神科医として従事しておりますが、時に内科のお仕事を手伝うこともございます。病院やクリニックの看板に○○科と標榜されていたらその先生は○○科の先生の先生となりますが、現在の日本においては麻酔科を除き、医師個人が自由に私は○○科の医師と掲げることができます。
医師のキャリアパスについて一緒に追っていきましょう。
医学部の6年間を卒業すると医師国家試験の受験資格が与えられ、国家試験に合格すると初期の臨床研修医として社会人になり2年間の国の指定を受けた研修病院や大学病院にて研修医として労務に従事します。2004年にスーパーローテーション制度が開始され、研修医の2年間は大分変わりました1)。往来の「外科」「救命科」「地域医療」に加え、2020年から「精神科」「外科」「小児科」「産婦人科」が加わり7つの科目が厚生労働省より必修科目となり研修医はより幅広い科目について修練を積むこととなりました。一方では限られた2年間のなかで知識や技術が散在してしまうという問題もあります。
私の初期研修医先は当時救命医がひとりの医師であり、学生時代に積極的な学生とはいえない自分にとっては動かないことにはなにも始まらない病院でした。大学病院とはことなる環境においてまず行動化そして、そこに裏付けをのせていくといった急性期ならでは修練が現在の医師像を作っていただきました。カンファレンスや論文検索・学会発表の機会は小さい病院のなかでとても配慮して戴きました。精神科医になったいま、時折救命当直のお仕事の依頼をいただけるのは「専門外」ではあるものの当時の信任からであり嬉しく感じるものの私が果たしていまの能力で診ていいものなのかという葛藤もあります。クリニックを開設し、そのような時間はほとんどなくなりましたが、初期研修医は医師の基本の骨格でであるのは間違いありません。
その後のキャリアパスですが、研修医を修了した医師はそれぞれの専門を検討します。希望する専門や研修医の時に選定される方やそれぞれの進路に進みます。
研修医を修了した時点で市民の方にとっては、○○科の先生でありその先生がなにものであるのか分からない状態で医師患者関係が成立することになります。
私たちは基本領域主要19科目にて専門医を取得するための専攻医という立場に移行し、指導医のもと研修施設にて診断及び治療のみならずコメディカルや患者様・ご家族との対応について指導を受けます。その後、各学会の専門医試験を受け合格したものが晴れて専門医として一定の診察に纏わる資質があるとのお墨付きを得て独り立ちという立場になります。
専門医制度も改革が起き2)、学会主導から日本専門医機構が管理することとなり専門医の取得基準も難しくなりつつあり、また子育て中の医師にとっては常勤という勤務形態が維持困難となり専門医の取得を断念される医師も増えている現状にあります。
医師には残業の規制もないため今後は働き方の改革を含めて専門医取得や維持については引き続き議論がなされることを願っております。
個人的に気になることは今後「アレルギー専門医」を小児科、皮膚科や耳鼻科及び眼科の先生が標榜することが難しくなり、内科の専門医が求められることになることです。現在日本アレルギー学会が専門医機構との交渉を行っております3)。アレルギーの受診は小児科、皮膚科や耳鼻科・眼科の先生が対応されることが多いと思いますので若い先生のモチベーション低下や患者様がどこを受診したらいいのか判断しかねる状況とならないことを願うばかりです。
話が長くなり申し訳ありません。
すべての科目において専門医を取得されている、もしくは専攻医のキャリアがある先生は一定の指導下にて修練を積まれた医師でありひとつの医療機関や医師を選ぶ際において患者さまの指針になるものと思われます。一方で専門医にあぐらをかいてはいけませんし、また自己研鑽において優秀な臨床家となっている先生もたくさんいらっしゃることもお伝えしたいことではあります。今後、医療機関を選定するうえでひとつの指針として、研修医をおえて疲弊した医師が再び専攻医として修練を積み専門家(医)となることについて本日はお話をさせていただきました。私自身は専門医では御座いますが、精神科医としては、未熟な立場です。ただ、表面的な優しさというよりは胸に響くような診察を心掛けたいと思っています。診察室のドアを閉めたときに抜けてしまうような言葉よりも適度なストレスで患者様が少しでも変化できるお手伝いができたら幸甚です。
1) 新制度(平成16年度の臨床研修から適用)創設までの経緯.厚生労働省医師臨床研修制度
2)career:医学生・若手医師のための医局情報サイト.新専門医制度とはより抜粋
3)日本アレルギー学会 ホームページより抜粋
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