基礎疾患罹患における認知症との関連について

年齢を重ねるにつれ私たちは体重も増加しやすく、昨今の巣ごもり状態から生活習慣病になりやすい傾向にあります。限られた時間や動きたくても動けない環境及び精神状態からストレス解消目的で食事を多くとってしまうこともあることでしょう

糖尿病とは糖尿病とは、血糖値(血液中に含まれるブドウ糖)が慢性的に高くなる病気のことです。私たちは食事をすると血糖値が上がります。そして、血糖値の上昇が感知されると膵臓から“インスリン”と呼ばれるホルモンが分泌され、肝臓や筋肉ではブドウ糖を“グリコーゲン”と呼ばれるエネルギー源に換え、脂肪組織では“脂肪”として、蓄える仕組みが作動します。この仕組みが備わっているため、私たちの血糖値は飲食しても一定に保たれているのです。一方、糖尿病ではインスリンの分泌量が減少したり、インスリンのはたらきが弱くなったりするため、血糖値が高い状態が続くようになります。この状態が長期間に及ぶと全身の血管に障害が起こるようになり、重症化すると失明・腎不全・足の切断などQOL(生活の質)を大きく低減させるような合併症や心筋梗塞や脳梗塞などの病気を引き起こすことがあります。日本では1,000万人ほどが糖尿病に罹患していると推定されており、注意すべき病気とのことです1)

 脂質異常症とは、血液中の脂肪分(コレステロールや中性脂肪)が多すぎる、あるいは少なすぎる状態をいいます。従来は高脂血症と呼ばれていた病態も脂質異常症の一部に含まれます(高脂血症という用語は病態を正しく表していないとして、2007年に日本動脈硬化学会が診断名を「脂質異常症」に改訂しました)。

血液中の中性脂肪やLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が基準値よりも高すぎても、逆にHDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)の値が低すぎても、動脈硬化を引き起こすリスク因子になります。このため、脂質異常症は、心筋梗塞しんきんこうそくや脳梗塞など、動脈硬化によって発症する可能性のある血管系の病気の引きがねnになると考えられています2)

どちらの疾患も血管の内皮細胞を傷つけて脆弱(脆く)させるまたは、血流不全を引き起こす全身疾患であり疾患の数値が迅速に命に関わるというよりは病気の状態が続くと重大な疾患にかかる可能性が高くなり、血液内の脂質や糖質のバランスを改善させることが内科的な予防医学におけるアプローチではないでしょうか。また高血圧も動脈硬化(血管の弾力性がなくなり)血流が悪くなって血管が損傷したり、通貨障害を引き起こします。

では、これらの生活習慣病は「認知症」とどの程度関わりを持つのでしょう

一緒に論文のサマリーを見てみましょう

Midlife lipid and glucose levels are associated with Alzheimer’s disease3 ).

中高年期の生活習慣病(糖尿病と脂質異常症)における認知症発症との関連

INTRODUCTION : It is unknown whether vascular and metabolic diseases assessed in early adulthood are associated with Alzheimer’s disease (AD) later in life.

はじめに :早期成人期に評価された血管疾患および代謝疾患が、人生の後半でアルツハイマー病(AD)と関連しているかどうかは不明である

METHODS : Association of AD with lipid fractions, glucose, blood pressure, body mass index (BMI), and smoking obtained prospectively from 4932 Framingham Heart Study (FHS) participants across nine quadrennial examinations was evaluated using Cox proportional hazard and Kaplan-Meier models. Age-, sex-, and education-adjusted models were tested for each factor measured at each exam and within three adult age groups (early = 35-50, middle = 51-60, and late = 61-70)

方法:9つの4年ごとの検査にわたって4932人のフラミンガム心臓研究(FHS)参加者から前向きに得られた脂質画分、グルコース、血圧、ボディマス指数(BMI)、および喫煙とのADの関連を、Cox比例ハザードおよびKaplan-Meierモデルを用いて評価した。年齢、性別、および教育調整モデルは、各試験で測定された各因子について、および3つの成人年齢層(早期= 35〜50、中期= 51〜60、および後期= 61〜70)内で試験された

RESULTS : A 15 mg/dL increase in high density lipoprotein (HDL) cholesterol was associated with decreased AD risk during early (15.4%, P = 0.041) and middle (17.9%, P = 0.014) adulthood. A 15 mg/dL increase in glucose measured during middle adulthood was associated with 14.5% increased AD risk (P = 0.00029). These findings remained significant after adjusting for treatment.

結果 : 高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールの15mg/dLの増加は,成人期の早期(15.4%,P = 0.041)および中期(17.9%,P = 0.014)のADリスクの低下と関連していた.中期成人期に測定されたグルコースの15mg/dL増加は、ADリスクの14.5%増加と関連していた(P = 0.00029)。これらの知見は、治療のために調整した後も有意なままであった。

DISCUSSION : Our findings suggest that careful management of cholesterol and glucose beginning in early adulthood can lower AD risk.

考察 我々の知見は、成人期初期からコレステロールとグルコースを注意深く管理することで、ADリスクを下げることができることを示唆している。ここで大事なことは高齢者のみに関わらず成人層であっても成人病が認知症発症リスクに影響があるとされたことです

病気も仕事も学校も家庭も、人間関係も予防・準備が大切ですよねクリニックでは準備を行いたいが動けない方が以前と比較し生きやすいと思ってもらえるような医療提供を考えております

  1. 稲垣暢也;Medical Noteより抜粋
  2. 古屋大祐:Medical Noteより抜粋
  3. Xiaoling Zhang et al; Alzheimer’s & dementia : the journal of the Alzheimer’s Association. 2022 Mar 23; doi: 10.1002/alz.12641

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